vol.7 「独自の色で暗闇を演出」~人と地球にやさしいライフスタイルを発信するキャンドルアーティスト~

キャンドルは変化していく姿が楽しめるオブジェ

ナオさんが惹かれたキャンドルの魅力はほかにもあります。

「ロウは液体のときと固まったとき、さらに火をつけて炎に透かされて見える色と全部違うんです。終わるところまでずっと止まっていない。変化するオブジェって少ないじゃないですか。そういうところもとても魅力です」

黒いキャンドルは灯を燈すとまったく別の色に変化する。
黒いキャンドルは灯を燈すとまったく別の色に変化する。

作り手であるナオさん自身、生み出した作品がどんなふうに燃えていくかを想像するのはとても楽しみなのだそうです。もちろん、ナオさんが作るキャンドルは商品である以上、ナオさんはその姿を見届けることはできません。しかし、たまに購入者が火をつけたときの写真を送ってくれることがあり、それを見るのはとても嬉しいそう。でも、買った人がわざわざ、写真を送ってくれるなんて!
そのエピソードだけで、ナオさんのキャンドルがどれだけ火をつけたときキレイな世界を描くか、想像できますよね。

「キャンドルをきっかけに、いろんな人に出会えているのも大きな楽しみです。アーティストだけでなく、サラリーマンやOLなどなど、国籍も職業も年代もさまざまな、いろんな人たちに出会って、いろいろな影響受けています。そして、また、それがキャンドル作りのアイデアにつながっていくんです。今は、素敵な風景を見たときはもちろん、印象的な話を聞いたときも、この世界をキャンドルの色の世界に表現できないかなって思ってしまうんですよ」

キャンドルを通じて伝えたいこと

人物のイメージ

ところで、現在、ショップでの販売や個展等も行っているナオさん。「100万人のキャンドルナイト」をはじめとするエコイベントでもその名は知られています。とはいえ、ナオさんは、バリバリのエコ活動家なわけではありません。それらの活動への参加の裏には、ナオさんならではのエコに対する姿勢があります。 それを確立したのは、2004年。唱歌『春の小川』の舞台にもなった渋谷川を、もう一度、きれいな川に戻そうという主旨のもとに設立された、NPO団体渋谷川ルネッサンスが渋谷川沿いのカフェで開催する、電気を消してキャンドルの灯りだけで営業する“暗闇カフェ”へ誘われたことでした。

「私は“キャンドル=エコ”という表現のしかたが好きではなかったので、エコをテーマにしたイベントに参加することに、当初は躊躇があったんです。でも、主催者の方とお話させていただいたら、環境活動をきちんとやっていて、環境を守るための活動をする側のメリット、デメリットを上辺だけでなくちゃんとわかっていらっしゃるその方が言うことにとても共感できたんです」

その話とは、「キャンドルナイトを開催するにあたり、大きい会場を借りて、有名人を呼んで、人を集めてというのは費用もかかるし、何かしらいつもと違うエネルギーをたくさん使う。それだけを考えれば、開催すること自体、いくらまわりの電気を消しても、いつもとCO2の排出量は変わらないかもしれないし、下手したら多いかもしれない。でも、キャンドルナイトは“電気を大事にしよう”というメッセージをもっているけれど、それをやらなきゃいけないというスタンスではなく、それを楽しく考えられる方法を、お祭りみたいな雰囲気の中で発信すれば、参加した人たちの363日にぜったい影響してくるだろうという考えが基本。キャンドルナイトを通じて、環境を守ることや、自分たちの生活を見直すことを、堅苦しくなく、エンターテインメントとして、みんなに語りかけたい」ということでした。

「そういう姿勢なら私は賛同できるし、迷わず参加できると思いまして、以降、エコイベントに誘われたときは、まず、そういった自分の考えを最初にお話させていただいて、理解していただけた人とやっています」

リユースキャンドルになるために砕かれた元キャンドル。砕くのも相当な労力なのだそう。リユースキャンドルになるために砕かれた元キャンドル。砕くのも相当な労力なのだそう。

人に流されるのではなく、何をするにも必ず、自分で納得してから進みたいと考えるナオさん。そうして築かれたナオさん流スタイルは、リユースキャンドルにも表われています。

「普通、リユースキャンドルというと、使い終わったものを溶かして、再度、成形するんですが、私のキャンドルは1本にいろいろな色が入っているので、1回溶かすとドス黒くなってしまうんです。なので、使い終わったものは砕いて、欠片にして、新しいロウで固めて作っています。完全なリサイクルではなく、8対2くらいで新しいものを入れて作っていることになりますけど、リユースキャンドルとはいえ、私は質を落としたくないし、キレイであってほしいので、このやり方をとっています」

もちろん、リユースキャンドルになっても、使いやすい形状であり、どこまでいってもちゃんと火がつけられる……デザインだけでなくキャンドルとしての質と実も追求したナオさんのこだわりも、生きています。

白い新しいロウで再生したリユースキャンドル白い新しいロウで再生したリユースキャンドル

エコを考えるとき、100%完璧を追求すると、敷居が高く感じられ、行動を起こすことに躊躇してしまう人も多いことでしょう。でも、少しくらいはずれてもかまわないくらいのゆとりの心をもって、お洒落に、そして、何より自分が心地よいやり方でまずは始めてみる。まずはそれでいいのではないでしょうか。

東京ロハス