vol.7 「独自の色で暗闇を演出」~人と地球にやさしいライフスタイルを発信するキャンドルアーティスト~

「100万人のキャンドルナイト~東京八百夜灯~」や「フジロックフェスティバル」をはじめ、クラブやカフェのイベント、ウェディング、音楽PV、雑誌等々、さまざまなシーンで活躍しているキャンドルアーティストのタカハシナオさん。お洒落に、そして独自の感性で、オリジナルのキャンドルを製作しているナオさんのお話には、キャンドルの魅力だけでなく、とかく難しく考えがちなエコに対し、肩肘張らず、気軽に、そして心地よく接するヒントも詰まっています。

喫茶店で耳にした他人の会話がキャンドルアーティストのきっかけに

ナオさんがキャンドル作りに目覚めたのは、今から十数年前。アクセサリーや服のリメイクが趣味だった学生の頃でした。

人物のイメージ

「喫茶店にいたら、知らない人がキャンドルの作り方について話しているのが耳に入ったんです。明確には聞こえなかったんですけど、お仏壇用のキャンドルとかお鍋とか、材料は家にあるものでできるらしいことがわかって、さっそくやってみたんです。何度も失敗して、やっと成功したときには、すっかりキャンドル作りにハマっていました(笑)」

それからは、日々、研究を重ね、キャンドル作りにのめりこんでいったといいます。そんなナオさんのキャンドルアーティストとしての初仕事は、友達からの依頼でした。

「当時はまだ学生で、まわりの友達は、クラブで遊んでいる世代だったので、クラブのパーティーのときのデコレーションを頼まれたのが最初でした」

それをきっかけに、ナオさんのキャンドルは人づてに広がっていき、「特別自分から営業をしなくても、声がかかるようになっていった」といいます。

シンプルな形のなかでどれだけ自分にしか出せない色を作るかがテーマ

ひと口にキャンドルといっても、形、大きさ、模様等々、さまざまな個性を持ったものが市販されています。そんななかで、ナオさんがこだわっているのは、色の表現。

キャンドルの基本となるロウには、粉や板など、いろいろな形状がありますが、ナオさんは、白いビーズ状のものを使っています。キャンドルの基本となるロウには、粉や板など、いろいろな形状がありますが、ナオさんは、白いビーズ状のものを使っています。

「キャンドルは粘度のように、いろいろな形に成形できるので、サンタクロースやスイーツなど、さまざまなものが作れます。でも、私は火をつけたときに、キレイなものが作りたかった。それが色の表現でした。火を使うものだから、安全に、気軽に使える形やサイズで、ちゃんと照明として使えるものというのが私のキャンドルの基本。そして、シンプルな形のなかで、私にしか出せない色を作りたいというのが最初からの夢でした」

ナオさんのアトリエに並ぶキャンドルたち。この色がナオさんのこだわり
ナオさんのアトリエに並ぶキャンドルたち。
この色がナオさんのこだわり

キャンドルの色は、白いロウに顔料を混ぜて生み出します。たとえば、赤色を作るとき、濃い赤、薄い赤、深い赤、淡い赤等々、赤にもいろいろありますが、混ぜる顔料の分量だけで調整すればいいわけではなく、温度など、さまざまな要素が影響して、生まれる色は変わるそうです。それは10年以上、キャンドル作りにたずさわっているナオさんですら、「多くの場合は、あえて細かく計算したりせず、偶然の産物を期待しながら作っています。そこが、キャンドル作りの魅力なんです」と微笑みます。
写真を見てもらえばわかるとおり、ナオさんのキャンドルは何色もの色を重ね合わせたものが多く揃います。それはますます予測不能の魅力に満ちあふれた世界なのです。

「キャンドルの色を重ねる場合は、1色目を入れて、固まり始めたら2色目を入れるんです。ただ、1色目がどのくらい固まったときに2色目を入れるかで、中で1色目と2色目が混ざり合ったり、きっちり分かれたり、変わってきます。しかも、ロウの固まるタイミングは、季節とか、その日の天気でも違ってきますから、毎回、異なります。さまざまな条件が影響するだけに、どんな作品になるかは予測不能だし、決して同じものは作れないんです」

ナオさんのキャンドルの仕上げ作業。オリジナルの焼印を入れます
ナオさんのキャンドルの仕上げ作業。
オリジナルの焼印を入れます

「『これと同じものを作って』と言われたら、『無理です』ってハッキリ答えます」と嬉しそうに笑うナオさん。“同じものは2つとない”。その感覚もまた、ナオさんをキャンドル作りへとのめり込ませる要素のひとつでした。

東京ロハス