ロハスインタビュー -エココンシャスな著名人が語るロハストーク- vol.7 池内 計司さん「最大限の安心と最小限の環境負荷を実現した“風で織るタオル”」

環境配慮商品のあり方を教えてくれたノルガード氏との出会い

IKTブランド誕生には欠かせない人物との出会いがありました。96年、講演のために来日したオーガニック製品ブランド「グリーン・コットン」を擁するデンマークのノボテック社社長、ライフ・ノルガードさんです。
ノルガードさんに環境の重要性、環境対策に取り組む意義を懇々と教えられた池内社長は、当時を振り返り、こう語ります。

「一度、環境配慮商品を手掛けたことがあるだけに、氏の話を聞いて、環境対策は生半可な気持ちで取り組んではいけないと強く反省し、一からやり直さなければと痛感しました。そして、感覚では環境、安全は語らないこと、必ず数値で立証できるものしか出さないという方針で、科学的、客観的事実を積み上げて、製品を冷静に自己評価し、向上を目指そうと決めました」

池内社長はノルガードさんの勧めに従い、当時はまだ繊維関連ではほとんどが取得実績のなかった、企業の環境対策に関する国際規格であるISO14001をタオル業界では初めて取得。さらに2001年には、世界でもっとも厳しい繊維製品の検査機関「エコテックス」へ検査を依頼。具体的な品質基準や数値を公表することで、製品の安全性を示しました。

池内タオルでは世界的な認証機関が認定した、農薬や枯葉剤を使用しない有機栽培の綿を原料にしています。さらに染色工程、漂白においては、塩素などの環境負荷が高い化学物質の使用を避け、鉛や銅、水銀といった重金属を含まない染料を使用して染めています。

「化学染料がすべて悪いというつもりは毛頭ありません。環境は守らないといけないけれど、環境のために色を我慢するのは人類の文化を壊すようなもの。しっかりコントロールしたうえで化学薬品を使うのが一番安全。化学染料のなかにはアレルギーの原因になるものを含んでいるものがあるからそれを排除するのです。あとは染めたタオルに残った染料をどこまできっちり洗い落としてお客さまにお届けするかということです。エコテックスでもっとも厳しいランクとなるクラス1に認定される、乳幼児が口に入れても大丈夫というタオルをつくろうと思ったら、ここが重要になるんです」

オーガニック製品といえば、ベージュか白という概念を変えたのも池内タオルの大きな功績ですが、その裏には環境配慮商品を感覚で語らずに、世界最高水準の数値で証明するという社長の信念が生きていたのです。

日本初! 自社で使う電力を100%風力発電で

さらにもうひとつ、池内タオルの大きな特長が「風で織るタオル」のブランド名の由来にもなっている風力発電の利用です。
池内タオルは、日本自然エネルギーを介して風力発電でつくられた電気を買うというグリーン電力証書システムを中小企業として初めて導入。自社で使う電力を100%風力発電でまかなっています。

「環境負荷の低い、環境にやさしい素材を使っているからその会社は環境にやさしいという考え方がありますが、私はその考え方には違和感を覚えるんです。環境負荷の低い材料を使ってものをつくる、たとえばオーガニック・タオルであれば、大変なのは、原材料を生産する農業従事者とコスト負担をする消費者です。メーカーや販売側は単に環境配慮商材を扱ってビジネスを行っているだけなんです。ですから自社が生産活動を行うこと事態が環境負荷になっていることを理解して、負荷自体の低減に取り組まなければ、本当の意味で環境に配慮した経営とは言えないと思うんです」

風力発電の利用により、通常の電力を用いるのと比べ、池内タオルはバスタオル1枚あたり約370グラムの二酸化炭素の削減を実現しています。

日本企業初の最優秀賞を米国で受賞

とはいえ、池内タオルが全国区で知られるようになるには少し時間がかかりました。というのも、OEMで採算のとれていた池内タオルにとって、IKTブランドは、販売目標ももたず、夢と理想を追求することだけを考えて開発できた商品。実際、社長は「今治市だけで売れればいいと考えていた」と語るのです。しかし、巷では、個人が立ち上げた「がんばれ池内タオル」という応援サイトが出現するなど、社長の取り組みは次第に評価され、反響が出始めました。

そして、同社が一気に名を上げることになったのが、2002年に開催された全米最大規模の「ニューヨーク・ホームテキスタイルショー」への出展でした。多彩なカラーバリエーションが特長の「ストレイツ カラーソリッド」シリーズが最優秀賞を受賞、日本企業としては初の快挙を成し遂げたのです。これをきっかけにニューヨークの5つの店舗での扱いが決まり、さらに30件以上の商談が進行。その評判は日本にも届き、池内タオルは一気に注目を集めました。
ところが、その矢先、池内タオルは存続の危機に直面してしまいます。

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