ロハスインタビュー -エココンシャスな著名人が語るロハストーク- vol.4 南清貴さん「食を考えずに人生を考えることはできない。健康な生活の基本は食からです」

南 清貴(みなみ きよたか)

1952年生まれ。演劇、整体を学んだあと、1995年代々木上原にレストラン・キヨズキッチン開業。最新の栄養学「オプティマル・ヒューマン・ダイエット」を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供。2006年、株式会社グリーンハウスキヨズキッチン事業室 チーフプロデューサーに就任。
「ナチュラルエイジング」という新たなキーワードを打ち立て、レストラン、カフェ等の業態開発、コントラクトフードサービスや、ヘルスケア、ホテルのフードメニュー開発にも力を注ぐ。著書に『シンプルごはんの思想』(三五館)、『からだキレイごはん』(アスコム)、『ナチュラルなからだ』(ブロンズ新社)、監修書として『あたらしい教科書14野菜』(プチグラパブリッシング)がある。講演録が『食と健康に本気な企業たち』(かんき出版)に収載

若い頃、演劇、そして整体を学ぶ中で「食」の重要性に気がついた南清貴さん。豊かなライフスタイルの根本にあるのは健康な身体、そしてその身体を作るのは「食」だということを、最新の栄養学「オプティマル・ヒューマン・ダイエット」の見地から訴え続けてきました。南さんから見た日本の「食」の現状、そして本来あるべき姿とは? 最新刊『究極の食』の内容を中心に、お話を伺いました。

危機に瀕している日本の「食」

数ヶ月前、事故米※1の不正転売が発覚しましたね。あれは非常に恥ずべき事態だと、私は思います。発ガン性のあるカビ毒や農薬などが含まれた可能性がある米が食用に出回った。その一部は学校給食にも使われたというんですから、言語道断ですよ。子どもたちの口に入るものになんということをするんだ、と。もちろん、大人だって食べてはいけないんですけれど、あれは、子どもたちに対する暴力、殺人未遂だと、ボクはほんとうにそう思っています。

問題は事故米だけではありません。
一連の食品偽装事件※2。消費期限・賞味期限を改竄したり、産地を偽ったり、とんでもない行為がまかり通っている。今年のはじめには中国製の冷凍ギョーザに殺虫剤が混入していたという事件※3もありましたね。輸入食品の危険性があらためて指摘されてもいます。

私は、輸入食品の現場を見学に行ったことがあります。そこには塩蔵の野菜など、中国からの輸入食材が山積みにされていて、中には容器に入ったまま何年も置きっぱなしのものまでありました。容器内の温度は真夏には60度を超えますが、何年経っても野菜の形は変わらない。塩だけでは、科学的にありえないですよね。なにか、とんでもなく強力な薬液にでも浸かっているとしか考えられないんです。

なにも私は、輸入食品がすべて危険というつもりはありません。ただ、コストと効率だけを追求する発想は、こと「食」に関しては問題があると言いたいんです。米でも野菜でも、きちんとしたものを育てるには時間がかかるんです。

効率だけを追求した結果、いまや日本の農業は危機にさらされています。かつて、「狭い日本で農業をやる必要はない。土地が広い国で大規模に作られた安い食料を買えばいいのだ」と主張する人たちがいましたが、いまや、それは現実になりつつあります。農業に携わる人の平均年齢は60歳を超え、耕作を放棄した農地が全耕地の1割近くにも達しています。食料自給率は40%を切ってしまっています。本来、自分たちが食べるものは自分たちで作るというのは当然のことだと思うんですけれど、それが半分以下ですよ。そんなおかしな国になってしまっている。

それでいいんですか、ということを、私は言いたいんです。現代社会、とくに先進諸国に住むわれわれは、一見豊かに見えながら、食べるものに関してはとても貧しくなってしまっている。選択の余地もないくらいのところに追い込まれてしまっています。いま、子どもたちに食べたいものを聞いてみてください。カレーライス、ハンバーグ、スパゲティ。他に思い浮かばないんですよ、知らないんですから。あとはカップラーメンとかコンビニのお弁当。そんなものでしょ?ほんとうはもっと豊かに選択肢があって、自分の意志に基づいて自分が食べたいものを食べられるはずなのに、そうはなっていない。そこに問題意識を持ちませんか、と問いかけたいんです。

私が、かつて『キヨズキッチン』というレストランを開いたのも、こうした問題意識が根底にありました。このレストランを開く前、いまから20年ほど前ですが、その当時、自然食という言葉はすでにあったけれども、ルールも何もなく、めちゃくちゃだったんです。自然食の店といいながら、大量生産の加工食品や化学調味料を使っていたりする。これじゃあどうしようもない。それがレストランを開くきっかけだったんですよ。

※1カビの発生や水濡れなどの被害を受けたり、基準値を超える農薬が検出されるなどした米のこと。用途を食用以外に限定して販売されるが、一部業者が焼酎、日本酒などの原料や食用に不正に転売していたことが、今年9月に明らかになった。

※202年、雪印食品が輸入肉を国産と偽り助成金を詐取する事件が発生。これを皮切りに、ミートホープ事件など食肉偽装が相次いだ。07年には不二家による消費期限の改竄が発覚。その後も同様の事例が次々と明るみに出た。また、ウナギやフグなどの産地偽装も明らかとなった。

※308年初め、中国製冷凍ギョーザを食べた10人が嘔吐などの症状を発症。後に、ギョーザに混入していた農薬メタミドホスによる有機リン中毒であることが判明した。混入の経緯については、いまだに明らかになっていない。

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