GREENER COMPANY - GREENER COMPANY - Vol.8 株式会社 OKUTA まず、お客様にとって何がいいかということです。二番目に持続可能かどうか。三番目にわれわれ自身の魂が納得できるかどうか。

家族のライフスタイルに合わせて考えていく

山本 拓己さんのイメージ

「そこで考えたのは、まず、お客様にとって何がいいかということです。それから、持続可能かどうかということが二番目。三番目にわれわれ自身が気持ちいいか、魂が納得できるかどうか。
実は、弊社の会長はサーファーで、私はミュージシャンなんです。ですから、根っこの部分ではやはり自然を愛しているんですよ。ですが、ビジネスだから違う顔でやっていたんです。会長は自分がサーファーであるということをビジネスには持ち込まなかったし、私も営業マンとして、元ミュージシャンなんておくびにも出さないでやっていました。ですが、自分にウソをついてビジネスマン面するのではなくて、自分自身がいいと思ったことを、自然体でできる仕事というのが、いちばん持続可能じゃないですか。

一番目のポイント、お客様にとって何がいいかということですが、まずはお客様のライフスタイルを考えます。例えば、築20年の家をリフォームするときに、新築の状態に戻そうとするのが原状復帰ですよね。ですが、新築で家を買ったときから20年という歳月が経っているわけですから、原状に戻そうとすると、ぜったいミスマッチが起きます。家を買った当時はまだ子育て真っ盛りだったけれど、20年経ったら成人して家を出ていく。その時系列の変化をちゃんと分析しなければいけない。『子育て真っ盛りのときには家にお父さんのスペースがありませんでしたね?でも定年になるとお父さんは毎日家にいますよね?』という話です。定年を迎えたお父さんが、家で何をするかということまで考えなければいけないわけです。

山本 拓己さんのイメージ

ライフスタイルは一軒一軒違うわけですから、まず、お客様の潜在ニーズを聞き出すんです。お客様は『おシャレにしたい』というふうに、漠然としかわからない。それを、ひとつずつ質問していって、どう暮らしたいかという将来ビジョンを共有するんです。ご家族がどう暮らしたいかという生活のあり方を聞き出して、それを今度は、三次元の住空間の中に形作っていく。どういう価値観を持っているかがわからないと形にできないので、延々ヒアリングをするんです。すごく手間がかかります。

例えば、浴室のタイルが剥がれたから修理してほしいというお客様もいらっしゃいます。ですが、剥がれたタイルを一枚貼ればお客さんは快適になるのかというと、実はそうではない。タイルが一枚剥がれたということは、隣のタイルも剥がれるかもしれない状態にあるわけです。下地が腐ってきているという予兆かもしれない。そうすると、いずれ近い将来、お風呂全体を直さなきゃいけない。だったら、今タイルを一枚だけ貼りかえるんじゃなくて、お風呂全体の計画を立てませんか、ということです。そこで、とりあえず一枚貼りかえるのか、20年後のことを考えるのか。翌年に引っ越すのだったら別ですが、生きているうちずっと住むんだったら、なんらかの手入れをしないといけない」

手をかけていくことが愛着につながる

「二番目のポイント、持続可能かどうかということでは、いずれ石油は枯渇するんだから、いち早く石油じゃないものに切り替えようという考え方をします。ぎりぎりまで使おうと思うと、そのときはもう遅いんです。
例えば昔、チクロという甘味料がありました。これに毒性があるということで禁止になって、食品業界がてんやわんやしながら違うものに変えていきました。それと同じことだと思うんです。いずれ使えなくなるのだったら、その前に切り替えておけば、混乱は防げるんです。

山本 拓己さんのイメージ

そこで自然素材ということになるんですが、実は大手は自然素材を使えないんです。
大手のサービスというのは、均一なものを、誰でも同じように、ということですよね。ファミリーレストランと同じです。全国どこに行っても同じ味、同じサービスが得られる。そうでないとクレームの対象になるし、大量採用で入った新入社員に、その教育ができない。簡単なもの、パッケージ化されたものでないとスピード感がなくなる。ところが自然素材、例えば木は一枚ずつ性質が違います。再現性がない。だから大手では自然素材を使えない。工業製品しか使えないんです。 ですが、そこで大手は『自然素材は反ったり歪んだりヒビ割れたりしますよ』と、自然素材があたかも悪いもののように言うわけです。私たちには、大手が大量にやっていくためのロジックが、テレビCMなどで刷り込まれているんですね。
それに対するアンチがロハス思想ですよ。どこにいっても売っているというものじゃない、そこにいかなければ手に入らない。そこには、作り手がこういう思いで作っているというようなストーリー性があるんです。
木は、たしかに反ったり割れたりします。メンテナンスフリーという考え方にはなじまない。ですが、クレームというのは、ある種コミュニケーションの機会、お客様と接点を持てるチャンスなんです。ちょっと見てくれると言われたときに、わかりましたと言ってサービスを提供できる機会じゃないですか。メンテナンスをするということは、そういうことなんです。
スポーツをする人、例えば釣りをやる人はロッドとか、野球をやる人はグローブだとか、必ずギアのメンテナンスをしますよね。それが愛着につながったりするわけでしょう?
ところが、メンテナンスフリーの家、いっさい家に手をかけないということは、イコール愛着がないということですよ。だったら、手をかけましょう、と。メンテナンスが面倒なことではなくて、楽しみになる。愛着を生むんです。

株式会社 OKUTA外観

築何十年という家をリフォームするときには、お客さまは皆さん泣きます。そこには、われわれが計り知れない思い出と苦労があるわけですよ。それぞれのご家族に、家を建てたとき、あるいは親から受け継いだときの記憶があるんです。
それを工業製品で置き換えて、100円ショップでジャンクなものを買っているように、とりあえず用が足りればいいやという感覚ですと、心を豊かにしない。
弊社は96年から有料会員制のサポートシステムを始めているんです。9400世帯くらいのお客様がいらっしゃるんですが、そういうシステムが先にあったんです。ですからアフターメンテナンスはお手の物なんです。大手は手離れよく売り切って、次の新規さんを獲得していきたいわけです。われわれはお客さんとつながっていくサポートシステムを持っている。それを生かしていこう、ということです」