GREENER COMPANY - Vol.6 株式会社INAX サステナブルな社会の実現に向けて「2050年CO2総排出量80%削減('90年比)」の大目標を自らの会社に課し、イノベーションを引き起してまいります。

水野 治幸

1981年 伊奈製陶株式会社(現INAX)入社。
伊奈製陶初の研究部門に配属され、約20年間にわたってセラミックスやガラスの研究開発に従事。
2003年 INAX初のマーケティング部門が発足。研究者からマーケッターへと華麗なる転身。
2008年 INAXの第10次環境宣言とともに、サステナブル・イノベーション部が発足。
部門を率い、顧客マーケティングから社会マーケティングへとシフトアップ。
現職 執行役員 サステナブル・イノベーション部 部長。

「人と地球を考えた環境美の創造と提供」をモットーに、浴室に洗面化粧台、トイレ、キッチン・・・生活に密着した設備機器を開発。環境部門の最高位である「環境経営パール大賞」を受賞するなど業界のトップランナーとして多くの実績を残しているINAXさん。
2008年4月には「2050年のCO2総排出量を80%削減する」という長期的展望に立った企業目標を発表。サステナブル・イノベーション部の部長として、この環境宣言の遂行と環境経営ビジョンの策定にあたっている水野治幸さんにお話をお伺いしました。

資源循環型のモノづくり

INAXにとって、環境への取り組みは経営そのものといっても過言ではありません。

工場で商品を作るとき、お客さまのもとで商品が使用されるとき、使い終わった商品が廃棄され、再利用されるとき・・・商品はさまざまな形で環境に接しています。そこで当社では早くから「人と地球を考えた環境美の創造と提供」を環境基本理念に、すべての場面で資源・エネルギー、廃棄物・排水を減らすことを考え、CO2削減や社外廃棄物ゼロ、原材料使用量の削減などに積極的に取り組んできました。

今から十数年前、まず最初に手掛けたのは、資源循環型のモノづくりでした。
それまで製造工程で生じる汚泥や不良品などは埋立廃棄物となるのが業界内の常識でした。そのほうがコストもかからなかったのです。しかし、環境のためには資源循環を考える必要があります。そこで、当社では、製品を原料にもどして使う技術開発を進め、ゼロ・エミッションに取り組み実現しました。

たとえば、タイルや衛生陶器の製造工程では、原料の土や釉薬などの混ざった汚泥が廃棄物となります。1995年には年間12,000tの汚泥や陶器くずなどが埋立廃棄されていましたが、原料にもどしたり、再生原料にリサイクルすることで、2000年からは埋立廃棄ゼロを継続しています。
他にも、製造工程で出てしまう端材は工程内で原料にもどしたり、端材を使用できるように考えた商品開発も行っています。各工場から出る樹脂廃材なども、材質ごとに分別し、用途を開拓することで、廃プラスチックをプラスチックのまま原料にして新しい製品をつくるマテリアルリサイクルの比率を増やしています。

また、製品については、組み立て時に接着剤の代わりにビス留めにすることで、分解しやすくしたり、樹脂部材には材質を表示、使用する材質もリサイクルしやすいものを使用するなど、もどしやすい設計も実現しています。

環境を配慮した商品が売り上げの約9割

次いで取り組んだのが、お客さまが使うときにも環境負荷の削減に貢献できる商品の開発でした。

これには、当社オリジナルの「LCD(ライフサイクルデザイン)評価システム」を活用し、あらかじめ設定した環境負荷削減目標をクリアできない商品は生産してはいけないという社内ルールを設けて、実現のためのさまざまなエコ技術を開発して商品づくりに取り組んできました。こうして生まれた「エコ推奨商品」には、どこが、どのように環境負荷低減に役立っているのかがお客さまにおわかりいただけるように、特長となる環境配慮ポイントをわかりやすく表現した「エコ推奨マーク」を付けています。現在、その商品は515シリーズを数え、売上げはINAX全商品の86.8%を占めるまでに達しています。

エコ推奨マーク付き総合カタログ
エコ推奨マーク付き総合カタログ

この比率にも表われているように、当社の大きな特徴は、すべての商品にエコ技術を採用するよう取り組んでいることです。たとえば、節水機能付きの便器を作ろうと考えたとき、特別な節水機器を開発し、それを付けた便器は高級品になるという開発ではいけないと当社では考えています。高級品だけでなく、お客さまにご提供するすべてのグレードに節水機能が付いているという商品開発を行わなければ意味がないからです。

というのも、地球は「水の惑星」と呼ばれていますが、実際、私たちが使える淡水は地球上の水のわずか0.007%に過ぎません。地球上のすべての水を20リットル(2リットルのペットボトル10本分)とすると、そのほとんどは海水で、人間が利用できる淡水はティースプーン1杯にも満たない計算になります。となれば、貴重な水資源を守るためには“とことん”節水する必要がある。高級な商品にだけ節水機能が付いているという状況ではそれは実現できないのです。