GREENER COMPANY - vol.4 佐川急便株式会 物流事業者である以上、環境への負荷は避けられない。環境への対策は、最新技術も取り入れながら、積極的に取り組んでいきます。

中尾 文愛(なかおふみちか)

1966年3月22日 生まれ

現在の役職:佐川急便株式会社 総務部 環境推進課 課長(2008年4月~現職)


主な業務経験:

2007年8月~ 佐川急便株式会社 安全・環境部 環境推進課 課長

2004年4月~ 佐川急便株式会社 ITシステム部 課長

2001年7月~ 佐川急便株式会社 営業部 企画開発課 課長

1997年6月~ 佐川急便株式会社 京都支社 営業部 営業開発課 係長

1991年4月~ 京都佐川急便株式会社 京都店 営業課

物流事業者として、社会のインフラを、天然ガストラックや、貨物電車で担っている佐川急便さん。世界初、特急コンテナ電車スーパーレールカーゴの運用を始め、さまざまな環境への厳しい目標にも積極的に取り組んでいる背景について、環境推進課長の中尾様にお話をお伺いしました。

厳しい目標にも積極的に取り組んでいます

当社では、国際的な視野で地球温暖化防止に取り組むために、クライメート・セイバーズ・プログラムに参加しています。このプログラムは、世界最大の民間自然保護団体であるWWF(世界自然保護基金)と、先進的な環境対策を進めている企業がパートナーシップを結び、企業の温室効果ガスの削減を目指す取り組みです。
このプログラムの最大の特徴は、WWFとの対話を通じて削減目標が設定されることと、第三者機関による検証が行われること。これによって企業の取り組みに透明性と信頼性が与えられます。毎年ガラス張りで数値を公表していくんです。公表することによってさらに強い意識をもって、また新たな取り組みをやっていかなければならない。
当社は、2003年にWWFと覚書を取り交わし、このプログラムへの参加を果たしました。日本企業では初、運輸部門としては世界で唯一の参加となります。覚書に基づき、「12年度までに、CO2総排出量を2002年度比6%削減する」という目標に取り組んでいます。削減目標は、生産量や売上高あたりの排出量である原単位ではなく、絶対量(総排出量)での削減を目標としていますので、かなり厳しい目標です。


環境負荷を減らす、天然ガストラック。
天然ガス充填ステーションにて。

このプログラムに基づいて、さまざまな取り組みを行なっていますが、最大のものはCNG(圧縮天然ガス)自動車(註1)の導入です。じつは、覚書の締結以前から、どんなトラックを使えば環境への負荷を減らせるかという模索を始めていて、CNG自動車は1997年6月の大阪支社(当時)を皮切りに導入を進めてまいりました。

97年というのは京都で第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)が開催され、京都議定書が議決された年。
当社も本社を京都に置いておりますので、この会議を契機に「地元企業として環境保全に何か貢献できないか」という機運が高まりました。そこで、役員で構成された「佐川急便エコプロジェクト推進委員会(現CSR委員会)」を発足。環境活動を本格的にスタートさせました。
CNG自動車は、当初計画では05年度までに2450台導入という規模だったのですが、クライメート・セイバー・プログラムへの参加を契機に、目標を12年度までに累計7000台に刷新しました。現在の保有台数は民間企業のトップ。日本全国の天然ガス自動車(トラック)の約21%を占めています。


充填風景。

さらに、エコ安全ドライブの推進や、太陽光発電システムの導入、リサイクル素材を使用したエコ車体、エコユニフォームの採用、そしてモーダルシフトによる輸送の効率化など、環境負荷低減に向けてさまざまな取り組みを行なっています。
エコ安全ドライブとは環境にやさしく安全な運転のこと。安全な運転は環境にも優しいということで、具体的には急発進、急加速や急停止をしない、アイドリングストップを励行するなどの7ヶ条からなります。

註1:
CNG(圧縮天然ガス)は、成分としては家庭用都市ガス(12A、13A)と同じもの。自動車には、これを200気圧程度に圧縮してボンベに搭載する。軽油など他の化石燃料と比較して炭素含有量が少なく、CO2排出量が少ないという特徴がある。さらに硫黄分など不純物もほとんど含まないため、硫黄酸化物、PM、黒煙などの排出もほとんどない。また、オクタン価が高いためガソリン車と同じ燃焼過程を取ることができ、後処理装置として三元触媒を使用できる。これによってCO、HC、NOxの排出量を削減できる。加えて、石油のように偏在することなく世界各地で埋蔵が確認されており、可採年数が長いなど、エネルギー政策上も有利な点が多々ある。
CNG自動車のいっそうの普及には航続距離を伸ばすことと、供給インフラの整備が必要とされる。国土交通省では、CNG車の普及のために「CNG車普及促進モデル事業」制度を創設。モデル地域として、05年にさいたま市、西宮市、横浜市、川崎市と中部国際空港、06年に小牧市、長岡市、柏市と関西空港・りんくうタウン、07年に尼崎市と富士市・富士宮市、08年に札幌市を指定している。モデル地域では地方公共団体、運送事業者やガス事業者などが協議会を設置し、CNG車導入に向けた環境整備を実施している。

佐川急便の貸切運行。スーパーレールカーゴ


特急コンテナ列車スーパーレールカーゴ

モーダルシフトとは、トラック輸送に比べて環境負荷が少ない鉄道や船舶を活用し、輸送効率を高めてエネルギー消費を低減すること。鉄道のCO2排出量はトラックの8分の1、海運は4分の1といわれています。
交通量が最も多い東京-大阪間の輸送にはスーパーレールカーゴを利用し、輸送量の約10%をまかなっています。CO2を削減するだけでなく、年間を通じて安定した輸送時間の確保、配達サービスも可能にしています。
スーパーレールカーゴとは、JR貨物と当社が共同開発した専用電車です。最高速度130km/hで、東京-大阪間を所用時間6時間余りで走行します。往復で10トントラック56台分のコンテナを搭載できる仕様になっています。04年に臨時列車として運転が始まり、現在では毎日深夜に上下各1本、定期的に運行しています。いまのところこのスーパーレールカーゴは当社の貸切運行のみです。他社さんで専用電車を運行させているところはないと思います。
また、世界初の電車型特急コンテナ列車「スーパーレールカーゴ」は、平成16年度エコプロダクツ大賞のエコサービス部門で国土交通大臣賞を受賞しています。

スーパーカーゴ以外にも、鉄道輸送や海上輸送を積極的に活用し、トラック輸送の削減を推進しています。これにより環境負荷を低減するとともに、交通事故抑止効果や長距離運転による労務問題の解消にもつながっています。

「スーパーレールカーゴ」の運用までに、輸送開発のご担当者様は、輸送時間をトラックと同等にするために集約体制の見直しを図り、コンテナの積み下ろし作業の軽減を図ったり、時速130km/hに耐えられるコンテナの開発など、細部の見直しなど、ご苦労なさった点などについて教えていただきました。