
「黒ラベル」でCO2排出量の削減目標を達成
ライフサイクルアセスメント(LCA)は、コピー機などの工業機械の分野では、何年も前から行われていましたが、食品業界での事例は少なく、まさに手探りの状態でした。当初は社内でも、「何のためにやるの?」という声や「ライフサイクルアセスメント(LCA)って何?」という意見もあり、苦労しながらのスタートでしたが、各部署を説得しながら、データをもらいに回り、主力商品である「サッポロ生ビール<黒ラベル>」の大びんと350mlアルミ缶の2種類を対象に、2003年のCO2排出量を算出しました。
CO2削減に関しては、高効率のボイラや冷凍機の導入や、発電と同時に発生した熱を利用して効率化を図る等、以前から取組んでおりましたが、2003年~2005年は、社内でプロジェクトを立ち上げ、各工場単位ではなく、横断的な専門のチームを作り、現場を見て回りました。他の工場でよい結果が出れば、それを事例として他の工場に指導に行ったり、社内のLANを使ってナレッジシェアを行う等、結果を共有するようにしました。
それまでは、一部の環境担当やエネルギー担当のスタッフが中心になってやっていたのですが、会社全体のプロジェクトとなり、多くの人間の意識が変わったこともCO2削減を推し進めることができた要因だと思います。例えば、工場ですと、ビールをつくる部門では水やお湯を使います。そのための水やお湯を他部門で作っているのですが、用意しすぎると当然無駄になってしまいます。使う部門とつくる部門が削減意識を持ち、連携を取って、無駄のないように必要量だけつくろうという声かけがはじまる等、意識を持った者同士、さまざまな部門間での連携ができるようになったのです。
そして、再度同じ手法で2005年分のデータを算出したのですが、計算に1年以上かかり2007年にようやくデータがでました。その結果、大びん1本当たりで15%、アルミ缶で10%もの削減を実現できたことがわかりました。プロジェクトチームは3名なのですが、各工場のエネルギー担当を始め、現場のスタッフ一人一人までが、プロジェクトチームの一員であるという意識を持って取組んでくれています。その後プロジェクトとしては終了しましたが、全社的な活動は継続しています。
現時点でも改善の余地はまだまだあると思っています。
ライフサイクルアセスメント(LCA)をやって良かったことは、今までは、原料栽培は原料栽培の部門、輸送は輸送の部門があってと、それぞれの部門ごとであった取り組みを、ひとつの土俵の上に載せて検証できることで、さらなる目標を設定し、実践していくことができるようになったことです。
今までは、工場だけで数値目標を持っていましたが、今後は原料でも何%、容器で何%と、それぞれの目標をもって、CO2削減という同じ土俵の上でプロジェクトを推進していきたいと思っています。
私たちの取り組んできたライフサイクルアセスメント(LCA)の活動が認められたこともあって、6月から経済産業省のCF(カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会)に参加させていただくことになりました。流通関係、食品関係、日用品等の企業が20社ほど参加しています。
CFとは商品にCO2排出量を数値化して表示していこうという取り組みです。低炭素社会に向けて、具体的な数値を表記することで、お客様も数値を見て購入するといった動きがでてくるのではと考えています。今回、この「CO2排出量の見える化」に貢献できる役割を与えていただけましたので、自社のライフサイクルアセスメント(LCA)の経験を活かして、日本、世界が低炭素社会に向かっていけるよう更なる貢献をしていきたいと考えています。
私たちサッポロビールは、安全・安心のための取り組みとして、協働契約栽培を行い、農産物に支えられてきた会社です。これからも安心してビールを飲める社会が続くようにと願っていますし、そのために、環境に配慮した「地球にやさしいビールづくり」を続けることが私たちの責任だと考えています。
50年後も100年後も、私たちの子供や孫たちがちゃんと生活できる地球ではなくてはならないと思います。社会から信頼され、期待され続ける企業として、これからも貢献していければと考えています。




