“ココロも満タンに”のキャッチフレーズでおなじみのコスモ石油さん。現在、CSR先進企業として注目されています。いち早く、環境経営に歩み出すことができた経緯や、具体的な社会貢献、環境への取り組みについて、環境室長の鴇田(トキタ)様にお話を伺いました。
きっかけは1996年まで遡ります。石油会社は、歴史的に、高度経済成長期、四日市コンビナート、川崎喘息などと代表とされるような公害を生み出してきました。その頃から、環境対策を行ってきましたが、ここまで地球温暖化が問題になり、環境破壊がクローズアップされる中、これからどうしたらいいんだろう?というところで、ノーベル科学賞を受賞された、福井謙一博士を弊社のイベントにお招きし、お話をお伺う機会がありました。その基調講演の中で、「21世紀は環境修復の時代である」とおっしゃったことが非常に印象的で、時の社長(現会長の岡部健一郎氏)もこの言葉に感銘を受け、これから企業はさまざまな環境対応を求められ、大きな経営課題となるであろう。
それならば、率先して環境対応をしていこう。というということになりました。
当時は、京都COP3などもあり、環境意識が高まってきて、世界でも、日本でも、京都議定書などにあるように温室効果ガスを削減するんだと、サステネブルデペロップメント、持続可能な社会等も話題になってきた時期でした。
弊社はどうだったかといいますと、環境、環境といいながらも、必要に迫られて、条例・政令などへの対応を、その都度、パッチワーク的に行っておりました。
弊社では、比較的早い時期から社会貢献活動、中東、特にアラブ首長国連邦と密接な関連がございまして、人事交流、技術協力をしてまいりました。こういったものをしっかり横軸をさして、やっていこうじゃないかと。環境を軸にした経営をしていこうと、すなわち環境経営を通して、企業の社会的責任を果たす。ということを目標としまして、環境保全活動の推進、社会貢献活動の推進、そして全事業レベルでの環境対応を推進していこう。ということになりました。
石油業界固有の課題は、製造やお客様のご利用にとどまらない二酸化炭素を排出してしまう。こういった環境科学物質を出してしまうということは、ある意味では石油業界、石油を生業としているものにとっては宿命ともいうべきものと考えております。
こういったものを扱う以上、企業の社会的責任というものを真摯に進めていかなくてはいけないと思います。化石燃料を採取し、精製して販売する社会的責任をしっかり自覚して対応していく。経営の中で、1999~2000年、環境中期計画として、採掘からサービスステーション、いわゆるガソリンスタンドですが、最後のエンドユーザーであるお客様の手に、私どもの扱っている商品をお渡しするまでの中で、環境のことを考える“環境推進企業”というのろしを上げての取り組みになりました。
環境対応の基本方針ですが、まずは、“石油業界のおかれている立場を知らなくてはならない”。いくらきれいごとを言ったところで、売っているものは化石燃料であり、環境負荷物質を出してしまう。そういったものを扱っている企業であるということをしっかり見つめることが大切だと考えています。経済発展の要であり、また、経済の血液とも言われた石油ですが、地球環境に大きな傷跡を残した事実を真摯に受け止め、環境経営を推進し、社会的責任を率先して果たす立場にあると思っています。
二つ目の基本方針としまして、“グローバルな地球環境問題“です。
先進国の大量消費と、途上国が貧困に瀕した熱帯雨林の破壊。世界が直面する地球温暖化問題の主な原因であることを認識し、環境貢献、啓発活動を行っております。
先進国におりますと、3R、4Rに代表されるような大量消費に基づく環境負荷の対応がどうしてもクローズアップされます。それはもちろん大切なことなのですが、グローバルで見たときに地球温暖化問題というのは、その対極にある途上国の、貧困による熱帯雨林の破壊等、という両極を考えなくてはなりません。私たちコスモ石油でも、足もとの大量消費による負荷物質の削減。供給する燃料の高級品質化に勤めると同時に、対極にある貧困、途上国にも手を差し伸べようということにも重きを置いております。
そして、最後になりますが、“先進的な環境対応”として、ゼロフレアプロジェクトがあります。石油を採掘すると一緒にガス(随伴ガス)が出ます。中東の随伴ガスは非常に養分が多くて腐食性が高い。燃やせば硫黄酸化物が出てしまう。そういうガスです。私たちの場合は、全部地球に埋め戻しています。地球といいましても地下2000~3000メートルの深いところです。そういう深いところに埋め戻しますともう一度液化します。よく、ガスなのでまた、漏れちゃうんじゃないの?と思われますが、液化して地下にとどまるようになるのです。
それ以外にも、最近話題の水素燃料電池等、そういう次世代型のエネルギー排出などにも対応しております。こういうものが基本方針の三本柱になっています。
1990年代まで、政治を中心とした公害対策の一環として、住民と共存を図ることを目的に、様々な活動を行ってきました。ある意味では社会貢献活動といって良いと思うのですが、その中に、環境というテーマにも多く取り組んできました。
1994年、毎年4月22日がアースデイということで、世界的にも環境への思いを広める、環境を考える日ということで、国連に制定しているアースデイコンサートとして東京FMと一緒に始めました。1990年11月には、経団連が中心となりまして、広く一般の方々に企業の社会貢献活動に対する理解を深めていただくことを目的に“1%クラブ”というものが創設されました。1%クラブというのは、企業の収益の1%を自主的に社会貢献に支出しようと努める企業や個人が会員となっています。弊社も1992年に加入いたしました。その年に広報部の中に“社会貢献部”というものを設置しました。社会貢献部は、全国の工場、支店を含めた社会貢献活動的なものを全部統括する役割を持った部署になっております。

環境広報誌
『TERRE(テール)』
10月には中伊豆に第1回「コスモわくわく探検隊」という活動を開始しました。どういった活動かと申しますと、石油会社は広義の意味での車社会といっていいと思います。そういった立場である以上、何かしら車社会に還元しよう、という発想の元に始まりました。すなわち車社会の弱者といって良いかと思いますが、交通遺児、交通事故によって親御さんをなくされた子供さんたちを対象に、キャンプなどを行っております。交通遺児は母子家庭といったケースが非常におおございまして、なかなかキャンプにいくとか、アウトドアな体験をさせるチャンスがないということで、このような企画が始まりました。今年で16回目、16年目になります。そして、1993年企業文化誌、環境文化誌の発行を始め、現在、環境広報誌『TERRE(テール)』として対外的に情報発信しております。
1996年、環境経営のための方針プログラムを策定。各種、環境保全プロジェクトの立ち上げということで、この時期に、本格的に、先ほど申し上げました経験知産の「21世紀は環境修復の時代。」ということで、実現するための仕組みつくりを始めております。2000年1月には、環境先進企業を目指した方針を発表。
これからコスモ石油は、環境先進企業、環境経営を取り入れていくと打ち出し、同年4月に中期環境計画を策定し、環境企業広告を開始しました。全社を上げて環境経営を推進するために、いくら、トップが環境、環境といっても、無理がございまして、石油採掘から精製、輸送、販売に至るまで、全工程・全事業において、環境を切り口にした計画を立てて、その目標値を定めてそれを達成する。そういった全社を上げた環境への取り組みを作ってまいりました。





